杏の花には、対照的ともいえる複数の花言葉が存在します。代表的なものとして知られるのが「乙女のはにかみ」「慎み深さ」「早春」、そしてミステリアスな「疑惑」です。
「乙女のはにかみ」という花言葉は、春まだ浅い肌寒い季節に、桜よりも先駆けてほんのりと頬を赤らめるように薄紅色の花を咲かせる姿に由来します。寒さに耐えながらひっそりと可憐に咲く様子が、純真な少女の恥じらう姿を想起させることから名付けられました。
一方で、穏やかではない「疑惑」という花言葉のルーツは、西洋の歴史や文学にあります。英語圏では、杏(Apricot)が古くから多産や誘惑の象徴とされる場面があり、イギリスのシェイクスピア劇『リチャード二世』や古典民話において、妊娠の真偽を確かめるための小道具として杏の実が描かれた背景があります。こうした古典の描写が転じて「疑惑」という象徴的な意味を持つようになりました。
一見ミステリアスな花言葉を持ちながらも、早春に凛と咲く姿の美しさは格別であり、日本では古くから希望や春の訪れを象徴する花として愛され続けています。