大会前、フットボールファンの間で最も大きな注目と議論を呼んだのが、イ・ガンイン選手のアジア大会出場理由とその舞台裏でした。2023年夏、スペインのRCDマジョルカからフランス屈指のメガクラブであるパリ・サンジェルマン(PSG)へ完全移籍を果たした若き至宝。通常、FIFA(国際サッカー連盟)管轄外の国際総合競技大会であるアジア大会には、クラブ側に選手派遣の義務はありません。
にもかかわらず、なぜPSGはシーズン序盤の大事な時期に主力候補であるイ・ガンインの離脱を認めたのか。報道各社および関係者の証言によると、移籍交渉の契約条項に「アジア大会への派遣容認」が組み込まれていたことが明らかになっています。PSG側にとっても、長期契約を結んだ有望株が将来的に約2年間チームを離脱するリスクは、数十億円規模の資産価値毀損を意味します。ここで大会に送り出し、金メダルを獲得させて兵役特例を得ることは、クラブの長期的な経営戦略としても極めて合理的な判断だったわけです。
イ・ガンイン自身も、大会中は過密日程と厳しいマークに晒されながらも、中盤での圧倒的なボールキープ力と長短のパスでゲームを掌握。準決勝や決勝でも決定的な起点となり、自身の手で欧州トップキャリアの「法的な足枷」を取り払う結果となりました。