築年数の経過した分譲マンションや戸建て住宅で非常に多いのが、和室6畳フローリング化のオーダーです。「畳を上げて板を置くだけ」と考えがちですが、構造上の決定的なハードルが存在します。
一般的な畳の厚みは45mm〜55mmであるのに対し、フローリング材の厚みは12mm程度しかありません。畳を撤去した後の空間には約35〜40mmの大きな段差(落とし込み)が生じるため、大工職人は以下の工程で床面を平滑に仕上げていきます。
- 下地木枠(根太)の設置:30〜40mm角の木材を303mmピッチで配置し、水平レベルをミリ単位で調整。
- 断熱材の充填:床下からの底冷えを防ぐため、根太の間にスタイロフォーム等の断熱材を敷設。
- 捨貼り合板の施工:厚さ12mmの構造用合板を捨て貼りし、剛性と遮音性を確保。
- 仕上げフローリングの敷設:合板の上に化粧フロアを釘留めおよび専用ボンドで本施工。
この一連の下地造成を行わずに薄いフロア材を直置きすると、敷居の段差で躓く危険な空間になるだけでなく、床鳴りや歩行時の底冷えに長年悩まされることになります。畳6枚分の処分費用(約1.2万〜2万円)を含め、プロに依頼した際の適正相場は15万〜25万円程度。決して安価ではありませんが、20年スパンの居住性を左右する不可欠な投資といえます。