インターネット上の一部では、「FDJは1,000馬力以上のパワーに任せて直線的にタイヤを滑らせているだけで、テクニックの繊細さではD1に劣る」という言説が散見されます。しかし、これは現場のメカニズムを全く理解していない決定的な誤解です。
真実はむしろ逆です。ハイグリップな大径タイヤを1,000馬力超でホイールスピンさせ続けるマシンは、わずかコンマ数秒のアクセルオフやステアリング操作の乱れで急激にグリップが回復(いわゆるお釣りをもらう状態)し、猛烈な勢いでクラッシュへと直結します。つまり、ドライバーは凶暴な猛獣の背中に乗りながら、ミリ単位のアクセルワークと左足ブレーキの調圧を同時にこなす神業を強いられているのです。
さらに、サスペンションのジオメトリー構造やクイックチェンジデフのセッティングなど、現代のFDJ車両は純粋なツーリングカーレーサーと同等以上の精密機械と化しています。「パワーがあるから勝てる」のではなく、「極限のパワーを路面に余すことなく伝達し、かつそれを手足のようにねじ伏せるドライバーだけが表彰台の頂点に立てる」というのが現場の絶対的な真実です。