この唯一無二の味の礎を築いたのは、初代店主である門脇きよ氏だ。戦後の貧しい時代、手に入りやすかった親鶏のガラや肉を余すところなく活用し、農作業で汗を流す地元の人々に精のつく一杯を振る舞ったのが始まりと伝わる。家庭の温もりと実用性から生まれたレシピは、半世紀以上の歳月を経て伝説の味へと昇華した。
現在、町内には個性豊かな蕎麦処が連なる「大石田そば街道」が形成されている。大石田そば街道推進協議会などの主導により、地域全体が全国屈指の蕎麦処として名声を高めるなかでも、きよそばの立ち位置は別格だ。先代から受け継いだ頑固なまでの味付けの芯をぶらさず、地元住民の日常食でありながら巡礼地としての風格を保ち続けている。