この病気の元凶は、「イクチオフチリウス・マルチフィリイス(Ichthyophthirius multifiliis)」と呼ばれる繊毛虫だ。一般的な甲殻類系の寄生虫とは異なり、魚の体表内に入り込んで栄養を吸い取る。恐ろしいのはその独特なライフサイクルにある。
魚の体表で栄養を蓄えた寄生虫(トロフォント)は、やがて魚から離脱して水槽の底床や壁面に下り立つ。そこでシストと呼ばれる強固な膜を形成し、内部で数百から数千もの幼体(トモント)を一気に分裂生成する。このシスト状態の寄生虫には、通常の水溶性薬品がほとんど効かない。やがてシストが破裂すると、遊泳力を持った大量の幼体(セラリア)が放出され、新たな宿主を求めて水槽中を泳ぎ回る。つまり、魚の表面に見える白点が消えたからといって根絶したわけではなく、むしろ水中では最大の危機が進行しているケースが多い。