発表直前の11月下旬から12月上旬にかけて、主要メディアやSNS上では盛んな「今年の漢字予想」が繰り広げられます。しかし、事前のメディア予想と清水寺の舞台で実際に揮毫される文字の間には、往々にして無視できない乖離が生じます。
ネット上のコミュニティ(Xや大手掲示板、ポータルサイトのコメント欄)の書き込みを分析すると、世論の反応はおおむね三つの潮流に分岐していました。
第一に、「まさに納得の結果。これ以外の文字は思いつかない」という同調の声です。特に大谷翔平選手の記録的活躍や歴史的な為替変動など、国民全体が共通体験として目撃したトピックが反映された場合、この受容層が過半数を占めます。
第二に、「生活の実態はもっと深刻なのに、ポジティブに美化されすぎている」あるいは「暗いニュースばかり強調され、頑張った成果が無視されている」という、個人の主観的リアリティとの落差に対する不満です。公募形式である以上、最終結果は全世代・全国民の平均値に収斂するため、特定の年代やクラスタが抱く尖った問題意識とはズレが生じる宿命があります。
第三に、「2位や3位の漢字のほうが、今年の裏テーマを的確に表している」という深読み派の分析です。実際にトップ20の順位表を精査すると、メディアが大きく報じなかったものの生活者が肌身で感じていた違和感や危機感が、2位から5位の僅差グループに凝縮されているケースが多々見受けられます。