吉高由里子演じる岸谷美砂が登場した際、視聴者の間で強烈なハレーションが生じたのはなぜでしょうか。その理由は、柴咲コウが演じた内海薫とのキャラクター設計における「完全な対極性」にありました。
制作陣はあえて「第2の内海薫」を作らず、湯川学との関係性をゼロから再構築するために、岸谷美砂というキャラクターに極端なエッジを与えました。この試みが、視聴者の感情を大きく揺さぶることになったのです。
内海薫は、理屈一辺倒の湯川学に対して「情」でぶつかり、被害者の無念を代弁する存在でした。一方の岸谷美砂は、若くして警部補に昇進したエリート意識から、湯川に対しても尊大な態度を隠さず、捜査現場で足を踏み鳴らして悔しがるような「高飛車で未熟な若者」として描かれました。
この極端な性格設定こそが、前作のファンにとって「受け入れ難い違和感」を生む要因となりました。しかし、これこそが脚本陣の狙いでもありました。すでに完成されていた湯川と内海のパートナーシップをそのまま踏襲するのではなく、未熟なエリート刑事が湯川という圧倒的知性と触れ合う中で挫折し、刑事として成長していく物語を構築しようとしたのです。