SNSやネット掲示板における議論と、スタジアム現地の空気感には時に興味深い乖離が存在します。鹿島アントラーズのネットの反応や評判を丹念に追尾すると、僅差で勝ち切る試合に対して「もっと圧倒的な攻撃サッカーが見たい」「華麗な崩しが少ない」といった辛口な声が散見されることがあります。
しかし、聖地・茨城県立カシマサッカースタジアムのスタンドに身を置くと、まったく異なる現実が肌で感じられます。スタジアムを包むサポーターは、自陣深くでの泥臭いクリアや、相手FWに自由を与えない体を張ったブロック一つひとつに対し、地鳴りのような拍手とチャントを送り続けています。現地のサポーターは「勝つために何が最優先か」を痛烈に理解しており、リアリズムに徹するチームの姿勢を誇りとしています。
クラブOBの回顧録にも記されている通り、鹿島というクラブの根底には「美しく敗れることよりも、無骨でも勝利をもぎ取ること」を尊ぶDNAが脈々と受け継がれています。ネット上で巻き起こる理想主義的な議論をよそに、現場の熱気は勝負の神髄を捉えた確固たる連帯感で満たされているのです。