館内が割れんばかりの歓声に包まれる瞬間、そこにはいつも宇良和輝の姿がある。居反りや伝え反りといった大技ばかりが脚光を浴びがちだが、彼の真骨頂は研ぎ澄まされた体幹と相手の重心を瞬時に見極める空間認知力にある。度重なる大怪我を乗り越えて築き上げたその変幻自在の取り口は、円熟味を増してなお進化を止めていない。
その一方で、部屋の屋台骨として土俵を引き締めるのが志摩ノ海航洋だ。愚直なまでに前へ出る押し相撲、ブレない立合い。派手な技巧派が脚光を浴びる傍らで、基本に忠実な王道相撲を体現するベテランの背中は、若手力士たちにとって生きた教科書となっている。動と静、華麗さと愚直さ。この強烈なコントラストこそが部屋の強さの源泉だ。