なぜ真面目に仕事に取り組んでいる人ほど、思いもよらない不注意に足をすくわれてしまうのか。最新研究が指し示す「うっかりミス」の根本原因は、本人の意欲や緊張感とは全く無関係な場所にある。それは、脳の認知リソースが枯渇することによって引き起こされる「機能的ショート」だ。
人間が同時に処理できる注意の対象には明確な上限がある。締め切りに追われ、次々と届く通知に気を取られながら作業を進める時、脳の警戒システムは正常に機能しなくなる。心理学の実験においても、認知負荷が高まった状態では、人間の視覚・注意システムが眼前の明らかな異常を見落とす「非注意による盲目」が発生しやすくなることが実証されている。つまり、ミスは注意を払っていないから起きるのではなく、脳が処理限界を超えた結果として自動的に発生しているのだ。