アンモナイトに関する情報の中には、古くからの俗説や誤解が一人歩きしているケースが少なくありません。報道や教育現場でも見落とされがちな盲点を整理します。
誤解1:「アンモナイトはジェット噴射で高速遊泳していた」
映画やイラストでは、イカのように海中を猛スピードで泳ぎ回る姿が描かれがちです。しかし流体力学モデルを用いたシミュレーションによると、アンモナイトの殻は水の抵抗を強く受ける形状をしており、遊泳速度は時速1km未満(人の歩く速度よりはるかに遅い)であったと推測されています。彼らは高速のスイマーではなく、海中をゆったりと漂いながら周囲の獲物を待ち伏せする「浮遊性の捕食者」でした。
誤解2:「オウムガイはアンモナイトの生き残りである」
前述の通り、系統分類学的にオウムガイ(オウムガイ目)とアンモナイト(アンモナイト目)は、デボン紀よりもはるか昔のオルドビス紀(約4億8000万年前)の共通祖先から枝分かれした別系統です。オウムガイはアンモナイトの子孫でも生き残りでもなく、いわば「遠い親戚」が独自の進化を遂げて今日まで生きながらえたに過ぎません。