物語の大きな推進力となっているのが、天真爛漫な転校生・各務原なでしこと志摩リンの関係性です。一般的な学園青春モノであれば、主人公が仲間とともに1つの部活やサークルに集い、常に一緒に行動する展開が定石でした。しかし『ゆるキャン△』は、そのステレオタイプを軽やかに飛び越えます。
リンは、なでしこたちが所属する「野外活動サークル(野クル)」からの勧誘を丁寧に断り、あくまでソロキャンパーとしての独立性を維持し続けました。ここには、現代の人間関係において極めて重要とされる「心理的バウンダリー(健全な心理的境界線)」の確立が見て取れます。
「ひとりの時間が好きだからといって、他者を拒絶しているわけではない」「一緒につるまなくても、確かな友情は成立する」。キャンプ場から互いにSNSで風景写真を送り合ったり、時には現地で合流して鍋を囲んだりと、干渉しすぎず放置もしない絶妙な距離感は、人間関係の同調圧力に疲弊した現代人に強烈な癒やしと示唆を与えました。