インターネット上で時に見られる「小林誠のデザインはトゲトゲしていてバランスが悪い」「悪目立ちしているだけ」といった批判は、氏のデザイン哲学の本質を見落とした表面的な見方に過ぎません。
小林氏が構築するシルエットは、単なる思い付きの装飾ではなく、「巨大構造物が重力下で自重を支え、兵器として機能するためのマッス(塊)」を立体的に検証した結果として生み出されています。例えばジ・Oの巨大な脚部や腰部スカートは、大推力のスラスターと重装甲を内包するための必然的な容積であり、正面から見た際の威圧感は心理的兵器としての説得力を持っています。
また、近年のアニメ業界が陥りがちな「線画をクリーンにし、作画コストを優先した無難なデザイン」に対するアンチテーゼとして、小林氏の泥臭く情報量の多い造形は、映像に毒と重厚感をもたらす貴重なスパイスとして機能してきました。万人に受け入れられる無難さを捨て、特異なエッジを研ぎ澄ませることこそが、小林誠というデザイナーの真価です。