「おもしれー女」という言葉の由来を調査すると、意外な事実に行き当たります。多くの人が「かつて読んだ名作少女漫画の決めゼリフ」として記憶していますが、文献や過去の連載作品をどれほど精査しても、完全に一致する発祥元となった単一のコマは特定されていません。
この現象は、メディア研究において「マンデラ効果(集合的記憶の誤認)」の一種として説明されます。1990年代から2000年代にかけて隆盛を極めた『花より男子』の道明寺司に代表される「学園を牛耳る御曹司」や、『有閑倶楽部』『美少女戦士セーラームーン』、あるいは『テニスの王子様』の跡部景吾のようなカリスマ的オレ様キャラクターたちの言動が、読者の脳内で自然とコラージュされた結果誕生しました。
典型的なシチュエーションは明快です。誰もが恐れる財閥の跡取りやエリートに対し、主人公の少女だけが媚びることなく平手打ちを食らわせたり、庶民的な手料理を差し出したりする。周囲が青ざめる中、男側が口角を上げながら「フッ……おもしれー女」と呟く――。この少女漫画のお約束テンプレが、2010年代半ばからTwitter(現X)をはじめとするSNS上でパロディとして切り取られ、爆発的な拡散を遂げました。
二次創作やVTuberの配信文化が成熟した現在では、ゲーム内で斜め上の行動を取るプレイヤーや、配信中に突拍子もないリアクションを見せる女性配信者に対する「最高のツッコミ・賞賛ワード」として定着し、ネットミームとしての地位を不動のものにしています。