治療における処方設計において、医師は頓服と定時服用の違いを極めて綿密に計算しています。パニック障害や社交不安症、全般性不安障害(GAD)における薬の役割は、局面ごとに異なるためです。
頓服(不安発作時の緊急回避)として用いる場合、かつては即効性に優れるデパスが多用されていました。過呼吸や激しい動悸が起きた際、数十分で症状を鎮静化できるためです。しかし、即効性が高い薬ほど「飲めば楽になる」という条件反射を脳に形成させやすく、心理的な依存を加速させる諸刃の剣となります。
現代の精神医学では、パニック障害や不安発作の適応において、ワイパックスを計画的に頓服活用する、あるいは定時服用で不安のベースラインを押し下げる手法が重視されています。ワイパックスは血中濃度が長時間にわたって安定するため、朝・夕などに定時服用することで「そもそも発作が起きにくい土台」を一日中維持できます。血中濃度の乱高下を防ぐことこそが、予期不安の連鎖を断ち切る医学的アプローチです。