「梨園の御曹司だから裏口やコネで簡単に入学できる」「学校も芸能活動を無条件で優遇している」といったネット上の言説は、実際の現場を無視した完全な誤解です。名門小学校の入試において、どれほど著名な家柄であっても、親の面接対応や家庭の教育理念、本人の基礎的協調性が基準に達していなければ容赦なく不合格となります。
寺島和史が名門の門をくぐり、順調に学業を継続できている背景には、母である尾上菊之助の妻・波野瓔子の卓越したマネジメント能力が存在します。瓔子夫人は、播磨屋の名優・二代目中村吉右衛門の娘として梨園の規律を骨の髄まで知る人物です。彼女の教育方針の根幹にあるのは、「芸に甘えて学業をおろそかにすることを絶対に許さない」という厳格な姿勢です。
劇場関係者の証言によると、瓔子夫人は地方公演の楽屋であっても和史のために家庭教師を手配し、舞台の出番直前まで教科書や問題集を開かせていたといいます。学校側が活動を容認する大前提には、「提出物を欠かさず、定期試験でも規定水準を維持する」という家庭側の真摯な契約関係が存在しており、決して特権階級のフリーパスで通学しているわけではないのです。