葉酸は水溶性ビタミン(ビタミンB群の一種)であるため、過剰に摂取した分は基本的に尿として排出されます。しかし、サプリメントなどに配合される合成葉酸(モノグルタミン酸型)を高用量で連日摂取し続けると、体内の代謝許容量を超えて血中に未代謝葉酸が滞留し、様々なトラブルの引き金になることが分かってきました。
特に注視されているのが、胎児への影響に関する研究報告です。複数の海外疫学調査(米国や豪州などの追跡研究データ)では、妊娠中に葉酸サプリを過剰摂取(1日1,000μg以上を常用)していた母親から生まれた子どもにおいて、小児期の気管支喘息やアトピー性皮膚炎の発症リスクが上昇する可能性が指摘されています。また、マウス実験などの基礎研究においても、極端な高用量葉酸が胎児の神経発達や遺伝子発現(エピジェネティクス)に予期せぬ変化をもたらす懸念が示されています。
もちろん、これらは「推奨量を守っている限り起きないリスク」です。葉酸は赤ちゃんの神経管閉鎖障害を予防するために欠かせない栄養素であり、不足することのリスク(無脳症や二分脊椎症の発症リスク上昇)は極めて明白です。「危険だから飲まない」のではなく、「適正量を守って飲む」という冷静なスタンスが求められます。