ネット上の掲示板やSNSでは、時折「もう全盛期は過ぎたのに、なぜ引退しないのか」「スポンサー企業を喜ばせるための金儲けではないのか」といった冷ややかな意見が散見されます。しかし、現地のサポーターや関係者の証言、そして何よりカズ自身の支出構造を検証すれば、その見方が決定的な誤りであることは明白です。
実際のところ、カズはサッカーを続けるために毎年数千万円に及ぶ莫大なプライベートマネーを投資しています。その最たる例が、毎年オフシーズンに行われる恒例のグアム自主トレです。
この合宿では、自身の専属アスレティックトレーナー、パーソナルトレーナー、理学療法士、さらには練習パートナーとなる若手選手たちを帯同させ、彼らの渡航費、宿泊費、グラウンド使用料、食事代に至るまで、全額をカズ自身が負担しています。関係者によると、オフの自主トレ費用だけで1回につき1500万〜2000万円以上のキャッシュが消えていくとされています。また、日々の筋膜リリースや高圧酸素カプセル、徹底したオーガニック食の調達など、身体のメンテナンスにかける年間費用は3000万円を下りません。
自著『やめないよ』や各メディアのロングインタビューで、カズは幾度となくその胸中を率直に明かしています。
「朝起きて、全身が痛くない日なんて1日もない。『痛いな、だるいな』と思いながらグラウンドに向かう。でも、ボールを蹴って、チームメイトとパスを交わした瞬間に、すべての痛みが消える。僕はお金のためにサッカーをやっているんじゃない。グラウンドにいる瞬間以上に幸せな場所が、この世界のどこにもないからスパイクを履いているんだ」
もし金銭的な蓄財が目的であれば、50代を迎えた時点で現役を退き、テレビの解説者やクラブの役員、あるいは企業の社外取締役に就任するほうが、身体的苦痛を伴わずに遥かに高い実質利益を得られるはずです。莫大な自己資金を削ってでも泥にまみれ、若いディフェンダーと競り合う道を選ぶカズの行動原理は、利己的な金銭勘定では説明がつきません。