「実家から大量に出てきたので、これで家族旅行に行けるかもしれない」――古銭買取の現場では、遺品整理をきっかけにこのような期待を寄せる相談者が後を絶ちません。しかし、日本貨幣商協同組合加盟店などの査定員が明かす現実は、多くの人々が抱くイメージとは大きく異なります。結論から言えば、一般的な並品の板垣退助100円札は、額面通りの100円、あるいは1枚あたり数十円〜200円前後で取引されるケースが大半を占めています。
このシビアな買取相場の背景には、発行枚数の圧倒的な多さがあります。板垣退助が描かれた「日本銀行券B号100円札」は、1953年(昭和28年)12月1日に発行が開始され、1974年(昭和49年)に日本銀行からの支払いが停止されるまでの約21年間にわたり、実に約93億枚も世に送り出されました。国民生活に深く浸透していたため、多くの家庭で「記念に」「なんとなく」タンスの奥に保管されたまま残されており、市場における希少価値が極めて低位で安定してしまっているのです。
ただし、すべてが一律に低評価というわけではありません。古紙幣市場で明確な価格差を生み出している境界線は、「状態の良さ(未使用ピン札であるか)」と「製造工程における希少性(記番号やエラー)」の2点に集約されます。並品であれば額面通りの評価にとどまる紙幣であっても、条件を満たした特別な個体には、額面の数十倍から数千倍もの板垣退助100円札高額査定理由が存在します。