レコード愛好家の間で日常的に使われる「ディグる(Dig=掘る)」という言葉は、店舗の棚や床に置かれた木箱・段ボールの中から目当ての盤や未知の傑作を探し出す行為を指します。敷居が高そうに見える専門店でも、基本的な作法と知識さえ身につけておけば、初心者であっても気後れすることなく宝探しを楽しめます。
初めて入店した際にまず確認すべきは、店内のゾーニングです。多くの店舗では、入口付近や目立つ什器に「新譜・公式リイシュー(再発盤)」や「直近の注目入荷盤」が配置され、奥に進むにつれてロック、ジャズ、ソウル、邦楽・シティポップといったジャンル別の常設棚が展開されています。さらに足元や棚の下段には、数百円程度で手に入る「バーゲンコーナー(エサ箱)」が用意されていることが多く、こここそが掘り出し物探しの醍醐味を味わえるエリアです。
中古盤を選ぶ際、ジャケットのコンディション以上に重要なのが「盤質(盤面の状態)」の確認です。国内の主要レコード店では、国際的なグレーディング基準に基づいた状態表記がプライスタグに明記されています。
【知っておくべき主要な盤質グレーディング】
・S(Sealed)/ M(Mint):未開封・新品同様の状態。
・NM(Near Mint):開封済みだがスレや傷がほぼ見当たらない極美品。
・EX(Excellent):微細なスレはあるものの、再生音にほとんど影響のない良好な状態。
・VG+(Very Good Plus):軽度の傷やチリノイズがあるが、音楽鑑賞を大きく妨げない標準的な中古レベル。
・VG / G(Fair / Poor):目立つ傷、針飛びの可能性、周期的なプチノイズが乗る状態。状態確認が必須。
タグに「EX」や「VG+」と書かれていても、中古品は一点ものです。気になる盤を見つけたら、店員に「盤面を確認してもよろしいですか?」と一言声をかけてジャケットから中身を引き出し、頭上の照明に透かしてヘアライン状の浅いスレや深い傷、反りがないかを目視でチェックしましょう。多くの優良店では試聴機(リスニングブース)が備え付けられており、購入前に実際の出音を自分の耳で確かめることも可能です。