救命講習への参加を検討する際、多くの人が「普通救命講習(Ⅰ〜Ⅲ)と上級救命講習のどちらを受けるべきか」という選択に直面します。両者の決定的な差異は、「対象とする傷病者の年齢層」と「対応できる事故・外傷の網羅性」にあります。
普通救命講習Ⅰが「成人に対する心肺蘇生とAED操作」に特化した約3時間のコンパクトなプログラムであるのに対し、上級救命講習は約8時間(丸一日)を費やし、新生児・乳児・小児から成人まで全年齢に対応する救命手技を徹底的に叩き込みます。さらに、単なる心肺停止へのアプローチにとどまらず、大出血時の止血法、骨折・捻挫時の副木固定、三角巾を用いた各種包帯法、毛布を用いた保温や体位管理(回復体位など)、さらには安全な徒手搬送法に至るまで、災害医療や救急現場の初期段階で求められる総合的なスキルを体系的に習得します。
なお、「普通救命講習を受講していないと上級は受講できないのか」という質問が頻出しますが、受講資格に事前の講習歴を義務付けていない自治体が大多数です。時間と体力の確保が可能であれば、最初から上級救命講習にチャレンジする「飛び級受講」が時間効率の面でも極めて合理的です。