君は最後の晩餐を知っているか?名画の謎と裏切りの真相を徹底解剖

君は最後の晩餐を知っているか?名画の謎と裏切りの真相を徹底解剖

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作品に描かれているのは、新約聖書の『ヨハネによる福音書』第13章21節、イエスが「はっきり言っておく。あなたがたのうちのひとりが、わたしを裏切ろうとしている」と口にした直後の、使徒たちの激しい感情の爆発です。レオナルドは12人の使徒を3人ずつの4つのグループに分け、驚き、怒り、悲しみ、疑念という異なるリアクションを緻密に対比させました。

登場人物の配置は、向かって左端から右端まで以下のように整然と構成されています。

  • 第1グループ(左端):バルトロマイ(驚いて立ち上がる)、小ヤコブ(隣の手を引く)、アンドレ(両手を挙げて潔白を主張)。
  • 第2グループ(イエスの右隣・向かって左):イスカリオテのユダ(引き下がり銀貨を握る)、ペテロ(ナイフを持ち身を乗り出す)、ヨハネ(悲嘆に暮れて耳を傾ける)。
  • 中央:イエスキリスト(運命を受け入れ、両手を広げて静寂を保つ)。
  • 第3グループ(イエスの左隣・向かって右):トマス(人差し指を天に突き立て神に問う)、大ヤコブ(両手を広げて身を引く)、フィリポ(胸に手を当てて自らの誠実さを訴える)。
  • 第4グループ(右端):マタイ(両手をイエスに向け仲間と議論)、タダイ(疑念を口にする)、シモン(両手を広げて困惑を示す)。

16世紀の画家・伝記作家ジョルジョ・ヴァザーリの『画家・彫刻家・建築家列伝』によると、レオナルドはミラノの街中を歩き回り、怒り狂う男、嘆く老人、悪党の表情をスケッチし続け、使徒一人ひとりの心理状態を顔の筋肉や手のジェスチャーに完全に落とし込みました。

「マグダラのマリア説」と『ダ・ヴィンチ・コード』の学術的検証

ダン・ブラウンの世界的ベストセラー小説『ダ・ヴィンチ・コード』によって広く浸透したのが、「イエスの左隣にいる美青年は使徒ヨハネではなく、イエスの妻であったマグダラのマリアである」という仮説です。作中では「髭がなく女性的な顔立ち」「イエスと体を離して形作られる空間が女性器を象徴するV字になっている」といった点が根拠として挙げられました。

ルネサンス期の美術史において、使徒ヨハネを髭のない中性的な美青年として描くことは確立された様式美でした。ヨハネは12使徒の中で最年少であり、純潔の象徴として女性的な柔らかさをもって描かれるのが15世紀イタリアのドナテッロやギルランダイオらの作品でも通例です。

もしこの人物がマグダラのマリアであれば、本来いるべき「イエスが最も愛した弟子ヨハネ」が画面から完全に消滅してしまい、12使徒という聖書の根本設定が崩壊します。ルーヴル美術館やミラノ文化財局の研究員らも、この説はエンターテインメント小説が生み出した魅力的なフィクションであり、美術史的な根拠は皆無であると公式に結論づけています。

吉田 誠
著者

吉田 誠

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