絵本選びで気になるのが対象年齢の設定です。出版社の案内では「0歳から大人まで」と幅広く設定されていますが、内容の本質を深く味わう上ではいくつかの読書ステージに分けることができます。
乳幼児期の子どもにとっては、淡く温かいパステル調のイラストを眺めながら、母親の優しい声で語りかけられる心地よいスキンシップの時間になります。一方で、文章に込められた深い人生の機微を完全に理解するのは、小学校高学年以降、あるいは実際に親の立場になってからと言えます。
そのため、本作は子ども自身が楽しむ絵本という側面に加え、「日々子育てに奮闘する親のためのセラピー本」としての性格を強く持っています。夜、子どもが寝静まった後にリビングで一人静かに開くことで、張り詰めていた気持ちが解きほぐされるという読者も少なくありません。