成果主義やタイパ(タイムパフォーマンス)が過剰に叫ばれる現代において、「甲斐がある」という実感のあり方は大きな転換点を迎えています。
認知心理学における「統制の所在(Locus of Control)」の観点から分析すると、甲斐を見失いやすい人は、価値の判定を「他者の反応」や「即時的な数字」という外的要因に過度に委ねる傾向があります。他人が褒めてくれない、短期間で結果が出ないという理由だけで「努力の甲斐がなかった」と自己否定に陥り、心理的バーンアウトを引き起こしてしまうのです。
一方で、長期的に健やかなキャリアと精神を維持できる人は、「甲斐」を内発的な基準で定義しています。たとえプロジェクトが商業的な大成功に至らなくとも、「新しいスキルを獲得できた」「チームの結束が強まった」という自己成長のプロセスに確固たる手応えを見出します。自分自身で行動の価値を承認できる「心理的バウンダリー(境界線)」を確立できているかどうかが、不確実な環境下で人生の甲斐を実感し続けられるかどうかの決定的な分岐点と言えます。