私たちが日常的に手にする10円硬貨。その裏面に精巧に刻まれているのが鳳凰堂だ。なぜ、数ある国宝の中からこの建物が選ばれたのか。理由は明解である。左右対称の美しいシンメトリー、そして池の上に浮かぶように建てられた圧倒的な造形美が、日本の建築美の至高とみなされたからだ。
中央の中堂を中心に、左右の翼廊、そして背面の尾廊で構成される独特のレイアウトは、空から舞い降りた一羽の巨大な鳥を思わせる。平安時代の建築家たちが追求した「現世に再現された極楽」は、単なる宗教的シンボルにとどまらず、空間デザインとしての完成度においても現代の建築家たちを驚嘆させ続けている。