彼のキャリアを語るうえで外せないのが、フィリピン映画界との濃密な関係性だ。過酷なロケーション、混沌としたストリート、剥き出しの人間臭さ。現地に単身で飛び込み、主役として、ときにはフィルムメーカーとして現場を牽引した経験が、クリエイターとしての野性を極限まで研ぎ澄ました。
安全地帯から予定調和な作品を量産しがちな日本映画界に対して、ジャッキー・ウーの存在は強烈なカウンターとして映る。リスクを恐れず過激な現場に身を投じる姿勢こそが、本物のリアリティを生む。映画は机上の計算ではなく、命の衝突から生まれるのだと、彼の軌跡そのものが雄弁に物語っている。