彼女の若き日のキャリアを語る上で欠かせないもう一つの重要作が、1988年公開の映画『ドグラ・マグラ』である。夢野久作の「映像化不可能」と評された超大作小説を桂枝雀主演で映画化した本作において、黒田福美はミステリアスで不穏な空気を纏う重要な役どころを熱演した。
アヴァンギャルドな世界観の中で圧倒的な異彩を放つ彼女の存在は、まさに80年代日本映画の挑戦的な気風を象徴するものであった。商業的なヒット作から実験的なカルト作まで果敢に挑戦する姿勢は、単なるビジュアル重視の女優とは一線を画す「真の表現者」としての地位を確立させたのである。