明治7年(1874年)の川路利良・初代大警視に始まる警視総監の系譜は、150年以上の歴史を紡いできました。歴代の総監ポストには、その時代ごとの治安課題に対峙してきた警察庁のエリート中のエリートが名を連ねています。
警察官僚の人事異動において、なぜ警視総監は1〜2年という比較的短いサイクルで交代するのか。その背景には、警察組織特有のピラミッド構造と「年次管理の力学」が存在します。
警察庁入庁の同期(キャリア官僚)は毎年十数名程度採用されますが、年次が進むにつれて地方警察本部長や本省課長・局長へと選別されていきます。最終的に「警察庁長官」あるいは「警視総監」へ登り詰めるのは同期の中からわずか1〜2名です。同期や後輩にポストを譲り、組織の若返りと指揮系統の求心力を保つため、最高幹部ポストは慣例として短期間で交代する仕組みが確立されています。
また、国政選挙の警備完了、主要国際会議の完遂、あるいは重大事件の捜査区切りといった「治安サイクルの節目」が交代のトリガーとなることも多く、内閣や国家公安委員会との綿密な調整のもとで人事が執行されます。