機材選びにおいて最初に直面する最大の分岐点が、入力電源のボルト数です。「家庭用のコンセントで手軽に使いたい」と考える場合、半自動溶接機 100Vモデルが第一候補に挙がりますが、そこには電気容量の物理的な限界が存在します。
一般的な家庭用100Vコンセントの許容電流は15A(最大1500W)です。100V専用機で高出力のアークを飛ばすと、一瞬で定格電流の上限に達し、家庭内のブレーカーが遮断されます。実用上、100V機で安定して溶接できる板厚はおよそ1.6mm〜2.3mm程度(点付け加工で最大3.2mm)が限界であり、バイクフレームの補強や厚みのあるアングル材の接合には溶け込み深さが不足しがちです。
一方、半自動溶接機 200Vモデルは十分な電流値(160A〜200A超)を確保できるため、板厚4.5mm〜6.0mm以上の厚板でも母材の芯までしっかり溶融池(プール)を形成できます。アークの安定感やスパッタの少なさ、アークスタートのスムーズさにおいても200V環境のアドバンテージは圧倒的です。単相200Vはエアコン用配線などを利用してガレージへ引き込む工事が比較的安価(数万円程度)で行えるため、本格的な製作を見据えるなら最初から100V/200V兼用機を選定しておくのが賢明な判断といえます。