「毎週膨大なレポートを作成しているのに、施策の改善が進まない」という事態はなぜ頻発するのでしょうか。現場の取材やアンケート調査から浮き彫りになった、効果測定が形骸化する構造的要因を解剖します。
最大の要因は、効果測定の指標とKPI設定における「測定指標の目的化」です。イギリスの経済学者チャールズ・グッドハートが提唱した「グッドハートの法則(ある指標が目標として設定された瞬間、それは良い指標ではなくなる)」が、まさに現場で起きています。例えば、広告のクリック数(CTR)やオウンドメディアのPV数だけをKPIに設定すると、ターゲット外のユーザーを集める釣り見出しが横行し、最終目標である売上や成約(KGI)から乖離していく現象です。
次に挙げられるのが、確証バイアスによる「チェリーピッキング」です。担当者が「施策は成功だった」と経営陣へ報告したいために、都合の良いポジティブな数値(SNSのインプレッション増加など)だけを抽出し、芳しくない最終コンバージョン数から目を背けてしまうケースが散見されます。
そして三つ目が、施策検証とPDCAサイクルの断絶です。施策の実行(Do)と結果の集計(Check)までは行われるものの、「改善アクション(Action)の権限が担当者にない」「次の打ち手に関する仮説があらかじめ設計されていない」ため、数字を集めた時点で思考停止に陥ってしまうのです。