もともと音楽家を目指していた彼女は、東洋音楽大学(現在の東京音楽大学)声楽科で学んでいた。オペラ歌手への道を歩んでいた彼女が、なぜテレビの世界へと足を踏み入れたのか。その理由は「絵本を子どもたちに上手に読み聞かせられる母親になりたい」という、実に素朴でピュアな想いからだったという。
しかし、NHKに入局した当初は順風満帆ではなかった。「個性が強すぎる」「話し方が個性的すぎる」と裏方仕事への変更を打診されるなど、従来の枠組みに収まらない彼女の存在は、当時の大人たちを混乱させた。だが、劇作家の飯沢匡氏ら本物の才能を見抜く先覚者たちが彼女の個性を全面的に肯定。「そのままでいい」という言葉に背中を押された黒柳は、持ち前の滑舌と圧倒的な感性を開花させていくこととなる。