昭和3年とはどのような年だったのでしょうか。歴史を振り返ると、国内外で大きな転換期を迎えた年であることがわかります。
国内では、1925年に制定された普通選挙法に基づく「第1回男子普通選挙(第16回衆議院議員総選挙)」が1928年2月に実施されました。これにより、納税額に関わらず25歳以上のすべての男性に選挙権が付与され、日本の政治史において民主主義が一歩前進した歴史的瞬間となりました。
また、同年夏に開催されたアムステルダムオリンピックでは、三段跳の織田幹雄選手が日本人初となる金メダルを獲得。陸上女子800メートルでは人見絹枝選手が銀メダルに輝き、日本スポーツ史に不滅の足跡を刻みました。秋には京都御所で昭和天皇の即位の礼・大嘗祭が執り行われるなど、国全体が新たな昭和の幕開けに沸いた年でもあります。
その一方で、満州における張作霖爆殺事件が発生するなど、のちの暗雲立ち込める時代へと連なる不穏な影も差し始めていました。昭和3年生まれの方々は、幼少期から青年期にかけて太平洋戦争の動乱と戦後の極限の物資不足を経験し、その後の日本の高度経済成長を現場の第一線で支え抜いた強靭な世代です。