歴史を振り返れば、オストメイトでありながら第一線で社会を牽引した指導者や名優は少なくない。アメリカ合衆国第34代大統領ドワイト・D・アイゼンハワーは、在任中に回腸炎の緊急手術を受け、ストーマを増設した事実が知られている。冷戦期の激動のさなか、国家のトップとして超人的な職務を果たし続けた彼の存在は、ストーマがあっても社会の最前線で指揮を執れる証明となった。
また、日本の映像界を支えた名優・渡瀬恒彦も、晩年に病と戦いながら鬼気迫る演技を披露し続けた人物だ。自身の身体に起きた変化と向き合い、役者としての矜持を保ちながらカメラの前に立ち続けたその生き様は、多くのファンや関係者に深い感銘を与えた。人工肛門の装着という変化を受け止めながら表現に命を燃やした姿は、後進にとっても大きな道標となっている。