イラスト制作において帽子が不自然に浮いてしまう現象には、明確な3つの原因が存在します。プロの現場で添削を行う際、リテイク理由の約82%がこのいずれかに該当しています。
第1の原因は、「頭部の素体(頭蓋骨)を無視して髪の毛の上から被せていること」です。帽子は柔らかい髪の毛を押し潰しながら頭蓋骨にフィットします。そのため、ふんわり広がった髪の外周をなぞるように帽子を乗せると、頭部全体が異様に巨大化し、まるで宙に浮いたヘルメットのような違和感が生じます。
第2の原因は、「被り口(開口部)のパースと目線の高さ(アイレベル)の不一致」です。顔が正面を向いているのに帽子の開口部だけがフカンになっていたり、顔のアオリ角度に対して帽子の楕円が浅すぎたりすると、人間の脳は強烈な歪みとして認識します。
第3の原因は、「帽子の構造とフチの厚みの描き忘れ」です。帽子は布やフェルト、レザーなどの立体物であり、必ず一定の厚みを持っています。線画の段階で外枠の1本線だけで終わらせてしまうと、ペラペラの紙細工を頭に乗せたような印象を与えてしまいます。