名字由来関連の統計データを精査すると、単独の「嶋」姓は全国順位でおよそ850位前後、世帯人口はおよそ1万8,000人から2万人規模と推計されています。常用漢字の「島」姓が全国約150位(約12万人)に位置することと比較すると、およそ6分の1の希少性です。
「嶋」を含む複合姓の中で最も代表的な「嶋田(しまだ)」は、全国順位約160位前後(約11万人)にランクインしています。同音の「島田」姓(全国約40位、約30万人超)と合わせると40万人を超える大姓です。「嶋田」の由来は、四方を小川や湿地に囲まれた安全な微高地に拓かれた良田(美田)を指す地名に端を発します。水害を逃れ、防衛に適した要衝に拠点を置いた土豪や開拓農民が「嶋田」を名乗り、近畿地方から北陸、関東へと広がっていきました。
昭和21(1946)年の「当用漢字表」制定以降、国は複雑な旧字体や異体字を簡易な新字体へ一本化する運動を推進しました。行政窓口でも「嶋」から「島」への更正手続き(改姓届)が推奨されましたが、多くの旧家や本家筋はこれを拒否しました。当時の当事者の証言記録によると、「祖先から受け継いだ土地の権利書や墓石に刻まれた文字を変えることは、本家の格式と先祖に対する不敬にあたる」という強い抵抗感があったことが記録されています。この歴史的矜持こそが、現代でも「大嶋」「川嶋」「小嶋」「嶋田」といった苗字が全国に残り続けている根本理由です。