一般社会における「ヤクザの髪型」の共通認識は、映画をはじめとする大衆メディアによって強固に刷り込まれました。その最大の震源地となったのが、1970年代に一世を風靡した東映の実録路線映画『仁義なき戦い』シリーズです。
菅原文太や松方弘樹ら名優たちがスクリーン上で見せたオールバックや短髪スタイルは、泥臭くも圧倒的なエネルギーを放ち、当時の若者や本職の構成員たちにまで逆輸入される形で模倣されました。その後、1980年代から1990年代にかけてレンタルビデオ市場を席巻したVシネマ(ネオ任侠路線)により、竹内力や哀川翔が体現した極太のリーゼントや鋭角的なフェザーバック、アイパーが「裏社会の記号」として完成の域に達します。
メディアが描く格好良さと恐ろしさが相互に影響し合い、暴力団側も自らの権威づけのために映画的なビジュアルを積極的に取り入れていった側面は否定できません。