少年院などの現場では長年、「被害者の気持ちを考えさせる」「反省文を何百枚も書かせる」「厳格な規律を叩き込む」といったアプローチが主流でした。しかし宮口氏は、そもそも相手の立場を想像する認知機能が未発達な状態の青少年にいくら反省を迫っても、表面的な辻褄合わせの嘘を覚えさせるだけで再犯防止にはつながらないと指摘しました。
そこで開発されたのが、認知機能そのものを底上げする包括的トレーニングプログラム「コグトレ(Cog-Tr:Cognitive Training)」です。従来のアプローチとコグトレがもたらした視点の転換を、以下の比較データで整理します。
認知機能強化トレーニングである「コグトレ」は、1日わずか数分から始められる紙と鉛筆を用いたドリル形式の課題です。複雑に重なり合った線の中から特定の図形を探し出す「視覚探索」や、お手本のドットをつないで同じ形を作る「点つなぎ」など、脳の基礎体力を地道に鍛え上げます。土台となる認知機能が整って初めて、他者の意図を推し量る社会性(SST)や、学習を受け入れる素地が形成されるのです。