ミッキーマウスの顔が変わったのは、実は2019年が初めてではありません。1928年のデビュー作『蒸気船ウィリー』から約1世紀に及ぶディズニー公式ミッキーの顔の歴史を紐解くと、時代ごとの表現技術や社会要請に合わせて幾度もの大胆なアップデートが繰り返されてきました。
1930年代の初代着ぐるみは、アニメーションの平面的なパイカットアイ(瞳にスリットが入ったデザイン)をそのまま立体化したため、現代の感覚から見るとやや無機質でシュールな造形でした。その後、1955年のカリフォルニア・ディズニーランド開園を経て、1970年代〜1980年代には現在の基礎となる親しみやすい立体ヘッドが完成します。
東京ディズニーランドが開園した1983年当時のミッキーは、現在の旧フェイスよりもさらに鼻筋が太く、目元の傾斜が異なるデザインでした。その後、1990年代初頭のマイナーチェンジを経て、私たちが「旧フェイス」と呼んでいた平成期のデザイン(約25年間にわたり親しまれた仕様)へと落ち着いた経緯があります。
つまり、ミッキーマウスの造形とは「完成された固定物」ではなく、「常にその時代の最先端テクノロジーと視覚メディアに合わせて呼吸し続ける生きたアイコン」なのです。2019年のリニューアルも、1930年代から続く正統な進化の系譜における最新の1ページに過ぎません。