ドラマ版の成功を決定づけた要因の一つが、主演を務めた杉咲花と相手役の杉野遥亮による圧倒的な演技力と誠実な役作りです。関係者への取材や当時のインタビュー資料によると、杉咲花は撮影前に盲学校への見学や当事者へのヒアリングを重ね、視線の泳ぎ方や白杖の扱いに至るまで細心の注意を払って役を構築しました。
森生を演じた杉野遥亮も、喧嘩っ早い不良でありながらユキコの前では忠犬のように無垢な表情を見せるギャップを見事に表現しました。二人の身長差や目線の合わせ方は、視覚障害者と晴眼者(視覚に障害のない人)が歩幅を合わせる日常の機微を的確に捉えています。
脇を固めるキャスト陣も物語の厚みを支えました。ユキコを過保護なまでに心配する姉・イズミ役の奈緒、森生のライバルであり頼れる兄貴分・金沢獅子王役の鈴木伸之、そしてユキコの良き理解者である盲学校の同級生・紫村空良役の田辺桃子など、実力派が揃い踏みとなりました。特に獅子王が抱える秘めた恋心や苦悩の描写は、単なる恋愛ドラマにとどまらない多様性の提示として高い評価を受けました。