物語の軸となるのは、かつて親友だった新城夏生と鈴木凛の関係性だ。幼少期の擦れ違いとトラウマ、そして再会。二人の間に横たわるのは、単なる「好き」「嫌い」といった二元論では片付けられない、ドロドロとした複雑な感情の渦である。
新城夏生は、過去の出来事から自分自身の感情を歪め、本音を素直に外に出せない屈折した内面を持つ。一方の鈴木凛もまた、夏生に対する強い執着と、拒絶されることへの恐怖の間で激しく揺れ動く。近すぎるがゆえに傷つけ合い、怖さゆえに本心を隠す。二人が見せる痛々しいほどの葛藤は、読者の胸に鋭く突き刺さる。「本当の自分を見てほしい」という叫びが、紙面から溢れ出しているのだ。