インターネット上の一部では、「角野栄子さんは元から裕福で、特別なセンスに恵まれていたからできること」「一般人が真似をすると単なる派手なおばあちゃんになってしまう」といった冷ややかな意見や誤解が散見されます。しかし、彼女の経歴と人生の軌跡を丹念に追うと、まったく異なる真実が浮き彫りになります。
角野さんは1935年生まれ。幼少期に太平洋戦争を体験し、物資不足の過酷な時代を生き抜きました。さらに24歳のとき、当時の日本としては極めて稀な移民船でのブラジル渡航を決断。言葉も通じない異国の地で暮らすなか、現地の人々の底抜けの明るさや、カラフルな色彩感覚に強い衝撃を受けました。
自著の手記でも明かされている通り、「どんな境遇であっても、自分から楽しみを見つけ出す工夫」こそが彼女の原点です。若き日の挫折や異文化での孤独を乗り越える過程で培われたサバイバル能力が、形を変えて現在のおしゃれや暮らしの知恵へと昇華されています。単なる贅沢や天性の才能ではなく、逆境のなかで選び取った「意志ある明るさ」なのです。