本作において映画史に深く刻まれているのが、魔界衆の首魁・天草四郎時貞を演じた沢田研二と、細川ガラシャによる濃密な絡みのシーンである。中性的な美貌とカリスマ性を誇るジュリーと、極限まで張り詰めた色気を放つ佳那晃子。二人が重なり合うカットは、単なるエロティシズムを超えた呪術的な儀式のような緊迫感を漂わせていた。
現場はまさに修羅場そのものだった。CGなど影も形もない時代、スタジオ内には本物の業火が焚かれ、凄まじい熱気と煙が立ち込めていたという。衣装が焦げるほどの危険な環境下で、深作監督の容赦ない怒号が飛ぶ。「もっと狂え、もっと貪り合え!」過酷なリテイクが繰り返される中、佳那晃子は一切の妥協を排してカメラの前に立ち続けた。沢田研二の放つ凄まじいオーラに一歩も引かず、むしろ喰らい付くように演じ切った彼女の胆力こそが、この名場面を永遠の伝説へと昇華させた要因にほかならない。