オフィスの郵便受取窓口や総務部門、企業の採用デスクには、日々膨大な数の封筒が届きます。実務の第一線に立つ総務エキスパートや人事責任者の現場観察によると、送付マナーの初歩的なミスによって書類そのものの信用が失墜している例は後を絶ちません。
特に指摘が多いNG行為の筆頭が「セロハンテープ留め」です。郵便事故による開封を防ぐ目的であっても、セロハンテープは経年で粘着剤が溶けて書類を汚染する恐れがある上、ビジネスの場では「手元にあった文具で適当に済ませた」という粗雑な心象を与えます。同様に、液体のりを用いすぎて封筒の紙面が波打ち、内部の書類と貼り付いてしまっている失敗も頻発しています。確実な密閉のためには、シワにならず粘着力が均一な「テープのり」や、封筒にあらかじめ備わっている両面テープ(スラット・クイック)を活用するのが現在最も推奨される手法です。
また、封締め「〆」の正しい書き方に関する誤解も根深く残っています。「〆」は漢字の「締」を簡略化した記号であり、アルファベットの「X」や禁止を表す「×(バツ)」とは根本的に異なります。「×」を雑に書いてしまうと、呪詛や否定の意味合いとして受け取られかねず、非常に無礼な印象を与えます。筆記具は封筒の宛名書きと同じ油性ペンやゲルインクを用い、糊付けしたフラップの境目中央をまたぐように、丁寧な筆致で記さなければなりません。
近年では、SNS上で余った茶封筒を折って蛇腹状の小物入れにアップサイクルするDIY動画がシニア世代を中心に話題を呼ぶなど、紙封筒の親しみやすさが再評価されています。しかし、ビジネスの文脈においては「白封筒」と「茶封筒(クラフト封筒)」の用途の峻別が依然として厳格です。履歴書や重要な商談書類を簡易な茶封筒で送ることは、いかに中身が優れていても「形式への敬意を欠いた行為」と見なされるリスクがあります。公の送付には、透け防止加工が施された清潔感のある白封筒を選択するのが無難です。