野沢さんの芸能人生は、驚くべきことに昭和初期の1939年、わずか3歳のときに幕を開けました。叔父が松竹の映画監督であった佐伯幸三氏であった縁から、松竹大船撮影所の映画『処女花園』に出演したのが最初の一歩でした。
幼少期から天才的な勘の良さを発揮し、子役として数々の映画や舞台に抜擢。当時は戦中から戦後の混乱期にあたり、決して恵まれた環境ばかりではありませんでしたが、カメラの前で指示通りに泣き、笑う感情表現の基礎はこの時代に培われました。
しかし、本人は決して最初から「一生の仕事にしよう」と意気込んでいたわけではありませんでした。過酷な撮影現場を経験しながらも、表現することの面白さに自然と引き込まれていった幼少期が、後の息の長い役者人生の頑丈な土台となったのです。