真剣勝負の場を奪われたナショナルチームを率いるヴァレリー・カルピン監督の苦悩は察するに余りある。中央アジアやアフリカ、東南アジアの諸国を招いて行われる親善試合は、ランキングポイントの維持にもチームのモチベーション向上にも直結しない。招集辞退や若手の士気低下と戦いながら、指揮官は「ロシアのアイデンティティを保つ」という抽象的な命題と向き合い続けている。
そうした暗雲の中で、数少ない希望の光となっているのがアレクサンドル・ゴロビンだ。フランス・リーグアンのモナコで主軸として君臨し、欧州トップレベルの強度を体現し続ける司令塔の存在は、ロシア産フットボーラーのクオリティが死滅していないことを証明している。だが彼のような例外を除けば、若き才能が西側のスカウトの目に留まる機会は激減した。国境の壁は、個々のフットボーラーが抱くキャリアの野心さえも無慈悲に押し潰している。