アンティーク市場には、意図的に古びた加工を施したレプリカ(復刻品)や、後世にパーツを寄せ集めて作られた「マリッジ品(ニコイチ)」が少なからず流通しています。本物と年代を見極めるためには、以下の3つの観察ポイントが不可欠です。
1. 木ネジの頭:マイナスネジか、プラスネジか
家具や時計の裏蓋を固定しているネジを確認してください。プラスネジ(フィリップスネジ)が世界的に普及したのは1930年代半ば以降です。1920年代以前の正真正銘のアンティークであれば、ネジ頭は必ず「マイナス(一本溝)」であり、さらに19世紀前半以前のものは手作業で作られているため溝の位置が中心から微妙にズレています。
2. 経年変化(パティナ)と不自然なエイジング加工
本物のアンティークが纏う艶と風合いを「パティナ(Patina)」と呼びます。人間が頻繁に触れる取っ手回りや椅子の肘掛けは摩耗して滑らかになり、手の届かない隙間や彫刻の奥には長い年月をかけたホコリと油分が固着して自然な陰影を作ります。全体に均一なヤスリ傷をつけたり、泥水を塗って汚したりした「人工的なエイジング品」は、触れる部分と触れない部分の摩耗バランスが崩れているため見抜くことが可能です。
3. 過剰な修復(レストア)による価値の暴落
骨董市場における最大の盲点が「キレイにしすぎることの弊害」です。銀食器の黒ずみを化学薬品で過剰に磨き落としたり、アンティーク家具のオリジナルのニス(シェラックニス)を完全に削り落として現代のウレタン塗装で塗り直してしまうと、アンティークとしての市場価値は激減します。欧米の名門オークションでは、「程よいパティナが残された未加工の状態(Original Condition)」こそが最も高く評価されます。