和装の美意識を語るうえで、映像作品が放つビジュアルの力は無視できない。絢爛豪華な色彩美で話題をさらった映画『さくらん』や、重厚な伝統美と緊迫感を体現した映画『大奥』。これらの劇中で描かれたヘアスタイルは、クラシックな日本髪の構築的な美しさと、どこかアヴァンギャルドな魅力を同居させ、今なお多くのクリエイターに刺激を与え続けている。
一方で、現代のリアルなアイコンとして注目を集めるのが、女優たちの洗練された佇まいだ。石原さとみが見せる凛とした気品と愛らしさを両立させた後れ毛のニュアンスや、綾瀬はるかが体現するミニマルで飾り立てないシニヨンスタイル。彼女たちの装いは、古風な枠組みにとらわれない「引き算の美学」がいかにモダンで都会的な印象を与えるかを雄弁に物語っている。