鹿児島のさつま揚げ界を語る上で欠かせないのが、異なる魅力を放つ名門の存在だ。大正元年創業の歴史を誇る「有村屋」は、昔ながらの伝統的な風味としっかりとした弾力で根強い支持を集める。生姜入りやすじ肉入りなど、素朴でありながら噛みしめるほどに素材の力が伝わる逸品は、まさに王道と呼ぶにふさわしい。
対して、洗練されたギフト需要や現代的な嗜好を捉えて急成長したのが「月揚庵」だ。白身魚の上質なすり身を贅沢に使い、地酒の華やかな風味とソフトな口当たりを追求した仕上がりは、老若男女を問わず人気が高い。チーズや枝豆、ごぼうを巻き込んだ彩り豊かなバリエーションは、食卓に華やぎを添える存在として重宝されている。