後頭部の刈り上げで多くの男性を悩ませる「カッパ状態」は、カット技術の優劣以前に、日本人に多い頭部骨格と毛流の物理的な力学を読み違えることで発生します。サイドと同じ感覚でバックまで一直線にバリカンを入れてしまうと、頭部の丸みが急激に変化するポイントで上部の毛が支えを失い、庇(ひさし)のように外側へ跳ね上がってしまうのです。
特に東アジア人の毛髪は断面が真円に近く、太くて硬い直毛が多い特徴を持っています。刈り上げの境界線(ディスコネクションライン)を後頭部の最も出っ張っている「バックポイント」よりも上に設定してしまうと、短いアンダーセクションと長いトップセクションの間に落差が生じます。その結果、生え際の強い毛流に押し出された上部の毛が下へ収まらず、真横へピンと浮き上がってしまい、カッパの頭部のような不格好な段差が完成してしまいます。
さらに見落とされがちなのが、サロンでのブロー仕上げによる一時的なごまかしです。施術直後はスタイリストがアイロンワークや強力なグリース、ハードスプレーを駆使して浮きを押さえ込んでいるため、美しい仕上がりに見えます。しかし、自宅で一度洗髪して素のドライ状態に戻った瞬間、髪本来の反発力が復活してカッパ化が露呈するというトラブルがSNSの相談窓口や知恵袋などでも後を絶ちません。